
神旭篇(1942~45年)
【神旭篇】/シンキョク-ヘン
神旭篇は、提都篇のもうひとつの物語。
錆山篇・塔京篇に関係ある戦艦神旭についての補完設定のためのお話。
神旭篇本編では幼馴染の皇国軍人三人の青春話が主体。
画集リリース予定はない。
収録作:予定なし
物語解説
1990年頃、提庁周辺を調査していたジャーナリストの【朱鷺田 陽/トキタ ヨウ】は、大戦末期に置ノ輪(オキノワ)沖に沈んだ戦艦雷天についての公式報告に疑問を持ち、雷天の元乗組員であり数少ない生き残りである【志摩 京介/シマ キョウスケ】へ取材を試みる。
子供の頃から船が大好きで将来は海へ出たいと夢見ていた京介と、男勝りな【鳴嶋 廉/ナルシマ レン】、二人より二つ歳上の兄貴分的存在【鴻月 亜佐/コウヅキ アサ】の三人はいつも一緒だった。成長した三人はそれぞれ軍属となり、京介は機関科の機械員に、廉は飛行科の整備士に、亜佐は予科練を経て空母不獄艦載の艦戦震星の航空隊員となった。
悪化する戦況の中、京介は二人の戦死を次々と聞くことになる。東和重工によって秘密裏に製造され、皇国起死回生の一艦となるといわれていた戦艦「神旭」へ乗艦が決定していた京介自身も、失意の中玉砕戦になるであろう出撃を控えて自身の死を覚悟した。ところが、敗戦が決定的となった1945年、神旭の初陣は戦闘ではなく神旭と新型兵器「針磨乙型」の隠蔽工作のための作戦に変更され、戦艦雷天に偽装した神旭を置ノ輪沖に沈めるため、神旭は最初で最後の出撃をする。
当初の目的であった取材もそこそこに、老人の思い出話で時間のほとんどを費やしてしまったものの、神旭という戦艦が存在したこと(正確には弐号艦暁の設計図の一部から弐号があるということは壱号も存在するはずだと予想し、志摩の話を繋ぎ合わせて壱号艦が神旭という戦艦ではないかと推測)と、針磨乙型なる新型兵器(核ではないかと予想)を乗せていたらしいことを掴んだ朱鷺田はそれをメモに書き留めるのだが、後に「朱鷺田文書」と呼ばれるそのメモが未曾有の事態を引き起こすことになることはまだ誰も知らないのだった。
用語解説
【千式海上主力戦艦 壱号艦 神旭】/シンキョク
皇国海軍の戦艦。未登録の高機動自律戦艦。
提庁系列の東和重工が関わっており、【針磨乙型/ハリマ-オツ-ガタ】という新型核兵器を乗せていたらしいが真偽は不明。
(*錆山篇Ⅱ・塔京篇で記述)
大戦末期に沖ノ輪沖に沈められ、公式には別の戦艦雷天であるということにされた。
弐号艦に【暁/アカツキ】が構想されていたが着工途中で終戦を迎えた。
【不獄】/フゴク
皇国海軍の空母。
【州桜】/スオウ
皇国海軍の空母。廉が最後に乗艦していた艦。42年の鬨島(トキシマ)沖海戦で沈没した。
【紫煉】/シレン
皇国海軍の駆逐艦。神旭沈没時に志摩が救助された駆逐艦。
【震星】/シンセイ
皇国海軍の艦上戦闘機。不獄の艦載機。
【雷天】/ライテン
皇国海軍の戦艦。
その他補足事項(ネタバレ)
針磨乙型を核であるとして以後の塔京篇の物語が進むが、針磨乙型は実際には核などではなく、新代護国斑の左の折れた角を使用したアンカー装置。